市況レポート
今週どの業種・テーマに注目すべきかを毎週解説。
スクリーニングの前に必ず読んでください。
相場の流れを読んで、注目セクター・警戒ポイントを毎週まとめたレポートです
今週のポイント ── 3行でわかる今の相場
忙しい方・投資を始めたばかりの方は、まずこの要点だけ押さえてください。くわしくは各セクションをご覧ください。
7/14(火)米CPI発表・米大手銀の決算
7/16(木)TSMC本決算(AI需要が本物か確認)
▼ ここから先は、上の内容をくわしく解説しています ▼
- 1追い風セクターで銘柄を絞り込む
スクリーニングツールでセクターを選ぶと、該当銘柄の一覧が表示されます
- 2気になる銘柄の財務・ニュースを確認する
会社名を入れるだけで、財務状況・最新ニュース・リスク診断をAIがまとめます
- 3投資基準を満たすか診断する
チェックリストで条件をひとつひとつ確認し、判断の根拠を記録します
今の市場、何が起きているのか(マクロ環境)
今週の東京市場をひと言で言うと「サムスン・ショックからのV字回復」でした。週明けはTOPIXが6連騰で史上最高値を更新するなど堅調でしたが、週半ばに半導体株が急落し、その後買い戻される荒い展開となりました。
サムスン電子の決算が市場予想に届かず
7日朝に発表された韓国サムスン電子の4〜6月期の暫定決算が市場の期待に届かず、韓国市場でハイテク株が急落。これが世界の半導体株へ連鎖しました。
米国ではインテルが約9.7%安、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が7日に4.6%超下落。日本でもキオクシア・東京エレクトロン・アドバンテストなどAI・半導体関連に売りが集中しました。
中東の緊張再燃で原油が急伸
7日にはホルムズ海峡でタンカーが攻撃され、米軍がイランへの攻撃を発表するなど地政学リスクが再燃しました。原油(WTI)は8日に一時1バレル73ドル近辺まで上昇し、投資家心理を冷やしました。
ところが米中央軍が8日にイランへの「攻撃完了」を発表すると原油高が一服。インフレ懸念の後退と米長期金利の低下が、9〜10日の半導体株の買い戻しにつながりました。
週間では日経平均は約1,186円安(−1.7%)と下落しましたが、注目すべきはTOPIXの相対的な底堅さです。日経平均が6/25の最高値から一時7%超下げる局面でも、TOPIXの下落率はより小さく抑えられました。
これは「半導体・値がさ株の一極集中」から、「金融・バリュー・高配当を含む裾野の広い循環物色」へと、資金の流れが移りつつあることを示しています。
日本の長期金利は一時2.8%台と約30年ぶりの高水準となる場面がありました。同時に為替は1ドル=162円台まで円安が進みました。
金利上昇は銀行・保険などの金融株の追い風、円安はトヨタなど輸出企業の下支えになります。この組み合わせが、相場の主役交代を後押ししています。
お金の流れはどうなっているのか(需給・相場構造)
| 日付 | 終値 | 前日比・主因 |
|---|---|---|
| 7/6 (月) |
69,737円−6(−0.01%) | 米休場で手掛かり難。TOPIXは6連騰で最高値更新。バリュー株に資金回帰 |
| 7/7 (火) |
68,256円−1,480(−2.12%) | サムスン決算が予想未達。半導体株が急落 |
| 7/8 (水) |
66,819円−1,437(−2.11%) | 3日続落で約3週間半ぶり安値。原油高も重荷 |
| 7/9 (木) |
67,743円+924(+1.38%) | 原油一服+米半導体高で買い戻し |
| 7/10 (金) |
68,557円+813(+1.20%) | 続伸。SBG・東エレク・フジクラ主導 |
| 週間の値動き −1,186円(−1.70%) 高値と安値の差は約3,565円と荒い一週間 | ||
ソース:株探、みんかぶ、日本経済新聞(各日大引け速報)。TOPIXは7/6に4,101.96で最高値を付けた後、7/8に4,006.43まで下げ、7/10は4,036.08で着地。日経平均より下落率が小さく、指数間の格差が続いています。
今週の急落は「AI・半導体の中身が悪くなった」わけではありません。①割高感が意識されていた値がさ株の持ち高調整、②サムスン決算という外部からのショック、③原油高という横からの変数、が重なった需給の調整でした。
その証拠に、幅広い銘柄で構成されるTOPIXが崩れなかったことが挙げられます。相場の土台そのものは大きく傷んでいないと考えられます。
① SKハイニックスが米ナスダックへ上場(7/10)──公募価格149ドルに対し初値170ドル、初日終値168.01ドルと公募価格を13%上回りました。調達額は約265億ドル(約4.3兆円)で、海外企業の米上場としては過去最大級です。
② TSMCが月次売上高の発表を延期──台風接近を理由に、当初10日予定だった6月売上高の開示を7月13日へずらしました。
③ 日本の決算シーズンが開幕──設備投資の先行指標とされる安川電機が先陣を切り、内容は「増収・減益」でした。
今の時流で注目できるセクター(追い風セクター)
金融(銀行・保険・証券)── 循環物色の中核
「金利が上がると銀行が儲かりやすい」という仕組みがあります。銀行は預金を集めて企業や個人に貸し出し、その利息を受け取ります。金利が高くなるほど貸出金利との差(利ざや)が広がり、収益が増えやすくなります。今週は三井住友FG・大和証券などが年初来高値を更新しました。
- 長期金利が一時2.8%台と約30年ぶりの高水準。利ざや拡大の直接の恩恵を受けやすい
- 日銀の利上げが後手に回るとの見方が、かえって金利上昇=金融株の追い風になっている
- 「値がさ半導体一極」からの資金分散の受け皿として、循環物色の中心になりやすい
分析対象として要注目(推奨ではありません):メガバンク / 大手証券 / 生損保など
輸出(自動車・機械)── 円安162円が下支え
為替が1ドル=162円台まで円安に進みました。円安になると、海外で売った製品の売上を円に換算したときに金額が膨らむため、トヨタなどの輸出企業にとってプラスに働きます。金利上昇・円安・原油の落ち着きという組み合わせが、輸出株の追い風になっています。
- 1ドル=162円の円安水準が、輸出企業の採算を下支えする
- 原油が一服したことで、燃料・素材コストの上振れ懸念が後退
- 金融+輸出+内需バリューへ資金が回帰する「循環物色」の一角
ただし、後述の安川電機の決算が示す通り、システム移行や海外再編などの「一時的なコスト要因」には注意が必要です。
内需バリュー・高配当 ── TOPIX優位の受け皿
値がさ半導体株が調整する中で、株価が割安に据え置かれている内需株や、配当利回りの高い株に資金が向かいやすくなっています。TOPIXが日経平均より底堅かったのは、この「裾野の広い物色」が効いているためです。
- 半導体一極集中の反動で、これまで出遅れていた内需・高配当に資金が分散
- 片山財務相がGPIF(年金基金)などによる国内金融資産投資の後押しに言及し、政策の追い風も
- 金利上昇局面でも業績が安定しやすく、相場の「守りの軸」になりやすい
今の時流で慎重に見る根拠があるセクター
半導体・AI(値がさ株)── 来週の決算が試金石
半導体株はサムスン・ショックからV字回復しましたが、値動きが非常に大きい状態が続いています。株価の方向は、来週のTSMCの月次売上高(13日)と本決算(16日)で「AI需要は本物か」が確認できるかどうかにかかっています。
SKハイニックスの大型上場も、日本勢への連想買いという追い風と、世界の半導体マネーを一時的に吸い上げる重荷という、両面を持っています。
- サムスン発の調整はいったん一巡したが、TSMC次第で再び振れやすい
- 4兆円規模のSKハイニックス上場が、既存の半導体株への資金を一時的に吸収する可能性
- 値がさ株ゆえ、指数全体を大きく動かす「振れ幅の大きさ」に注意
FA・機械 ── 決算の「保守的な出だし」に注意
設備投資の先行指標とされる安川電機の決算は「増収・大幅減益」で、税引前利益は市場予想を4割超下回りました。減益の主因は基幹システム移行に伴う一時的な影響や欧州の構造改革費用など「一過性」とされますが、他のFA・機械株の決算前に「保守的な出だし」として意識されやすい内容です。
一方で、半導体・データセンター向けのモーションコントロール事業は増収増益でした。AI・半導体という成長の柱は崩れていない点も押さえておきたいところです。
- 安川の通期進捗率(11.6%)が過去5年平均(21.0%)を下回り、出だしの鈍さが意識される
- これから続くディスコ・アドバンテスト等の決算で、市場のハードルが読み比べられる
- ただし会社は通期計画を据え置き、下期回復シナリオを維持している
資源・エネルギー ── 中東次第で振れやすい
中東情勢を背景に、原油価格が上下に振れやすい状態が続いています。今週は米軍の「攻撃完了」発表で原油高が一服しましたが、トランプ大統領は週末に「停戦は終了した」と投稿しつつ「協議継続には合意」とも述べており、依然として脆弱な均衡にあります。
原油が振れると、資源関連の収益見通しも一緒に揺れやすくなります。
- 中東情勢が不安定で、原油価格の上下動が読みにくい
- 地政学プレミアム(緊張による上乗せ分)が残存しており、急変の可能性がある
- 原油の方向がインフレ・金利観にも波及し、相場全体の変数になりやすい
シナリオ分析:上がる場合と下がる場合
📈 楽観シナリオ(上向きになる場合)
以下の条件がそろえば、サムスン発の調整は一巡し、日経平均が7万円の回復・上抜けを試す展開が見込まれると考えられます。
- TSMCの月次売上高(13日)と本決算(16日)で、前年比+30%前後の成長が確認される
- 7月14日の米CPIで原油安によるインフレ鈍化が示され、利上げ観測が後退する
- SKハイニックスの高評価が、日本の半導体関連への連想買いにつながる
- 金利上昇の恩恵を受ける金融株と内需バリューが「守りの軸」として下値を支える
📉 悲観シナリオ(再び調整する可能性)
- リスク①:TSMCの数字が減速を示す
月次・本決算で成長の鈍化が示されれば、値がさ半導体株を中心に再度の調整が入る可能性があります。指数への影響が大きいだけに、下げ幅が広がりやすい点に注意が必要です。 - リスク②:決算シーズンの「保守的な出だし」が続く
安川電機に続く主要企業の決算で、一時コスト要因や通期進捗の鈍さが相次げば、市場のハードルが切り下がり、株価の重荷になる可能性があります。 - リスク③:中東情勢の再燃
停戦は脆弱で地政学プレミアムが残存しています。原油が再び急伸すればインフレ懸念が戻り、グロース株を中心にリスクオフが進む可能性があります。
来週以降の注目ポイント(7月13日週〜)
来週の相場は、ひとことで言えば「TSMCの数字次第」です。月次売上高(13日)と本決算(16日)で成長が確認できれば、サムスン発の調整は一巡し、7万円回復・上抜けを試す展開が見込めます。
追い風セクター(金融・輸出・内需バリュー)は、金利上昇と円安が続く限り注目の根拠が維持されます。
慎重に見るセクター(半導体・FA機械・資源)は、決算と中東情勢の推移で振れやすい状況が続きます。
7月下旬から8月上旬にかけて、日本の主要企業の決算が本格化します。ディスコ・アドバンテスト・日本電産などの内容で、①AI・半導体関連の受注、②価格転嫁と間接費、③通期見通しの現実味、の3点を読み比べるのが有効です。
米国では大手銀の決算から米決算シーズンが本格化します。金融株の方向性の手がかりになります。
- 7月13日(月) TSMC 6月・4〜6月の月次売上高(延期分)。台湾市場の再開後に開示。AI需要の体温計で、前年比+31%目標に届くかが焦点。
- 7月14日(火) 米・6月消費者物価指数(CPI)発表。インフレの落ち着きが確認できるか。加えてウォーシュFRB議長の議会証言、米大手銀(JPモルガン等)のQ2決算も。
- 7月16日(木) TSMC 4〜6月期の本決算。設備投資計画と2026年の成長見通し。半導体株の中期の見方に直結する最重要材料。
- 7月下旬〜8月上旬 日本の主要企業決算が本格化(ディスコ・アドバンテスト等)。AI受注・通期見通しの現実味を確認。
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